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米金融政策、「インフレ退治」の難路

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB1572J0V10C22A3000000

 

継続利上げを宣言、状況次第で0.5%引き上げも

1回あたりの利上げ幅を0.25%とすると、年内の残り6会合で毎回利上げすることになる。状況次第では0.5%の大幅利上げもあり得る。

 

政策金利「中立」超えも視野

それに比べれば今回の見通しの異質さが際立つ。23年末時点の予想の中央値は約2.8%と、中立金利を上回る水準にある。曲線は山型となり、「短期間で金利を大きく引き上げた後は利下げもいとわない」姿勢とも解釈できる。

 

3カ月の間に政策スタンスがこうも変わったのはなぜか。主因は政策当局が「インフレは想像以上に手ごわい」と認識を改めたことだ。

米国では「不快なほど高いインフレ」(イエレン財務長官)が続いている。

米金利高・円安・株高進む

2年債利回りは2%近く、10年債も2.2%手前まで上昇した。これを受け外為市場では円売り・ドル買いが加速し、円相場は一時1ドル=119円を下回る水準まで下落した。

ローレン・グッドウィン氏

 

(ニューヨーク・ライフ・インベストメンツ ポートフォリオ・ストラテジスト)
米景気は労働市場を含めて全般に堅調だが、インフレ圧力拡大による景気減速の懸念はロシアのウクライナ侵攻前からあった。そこにウクライナ危機が加わった。この問題が長引けば、インフレ下の景気減速というスタグフレーションの懸念が強まるだろう。

すでに欧州では、スタグフレーションを実感する消費者も多い。前年比5%台の賃金上昇率を記録した米国でも同7.9%の物価上昇率は非常に厳しく、消費者がスタグフレーションを実感する可能性がある。コスト上昇が長引けば、企業の利益率低下につながり、業績の予想外の悪化に見舞われる懸念もある。
投資家は金融市場が不安定なときこそ、保有資産を売ることなく、長期的な視点で投資運用すべきだ。エネルギー価格上昇を中心としたインフレ拡大、金利上昇という局面では、小型バリュー株、短期変動金利債、転換社債などへの投資を勧める。業種ではインフラ、不動産関連の株が有望だ。