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REIT、春へ守備固め 割安な優良銘柄を発掘

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB102Z00Q2A310C2000000

 

足元では地政学リスクの高まりで先行き不透明感がさらに増す。投資家は手堅さ重視の姿勢を一段と強め、優良銘柄の発掘に専念しようとしている。

 

「円建てでこれほど利回りを取れる投資先はREIT以外に見当たらないが、下落リスクの警戒は解けない」。ある地銀の運用担当者はぼやく。

年初に欧米の長期金利の上昇(債券価格は下落)で外国債券の含み損が膨らんだ国内金融機関が、損切りや益出しでREITを投げ売り。価格の下落でREITの分配金利回りは平均3.8%台まで上昇しているが、様子見姿勢を崩せない。

足元の地政学リスクの高まりが国内外の景気悪化懸念を強め、REIT相場にも重荷となる。銘柄の選別眼が問われるが、これを選別物色の好機とみる投資家はいる。りそなアセットマネジメントの奥村敦子シニア・ファンド・マネージャーは「ウクライナ情勢の影響でテナント企業の業績に悪影響が出る懸念もあるが、テナントと強固な関係を築く物流REITは成長できる」と話す。

オフィス市況の悪化も一服感が出てきた。オフィスビル仲介大手の三鬼商事によると、東京都心の空室率は昨年10月の6%台半ばをピークに低下基調だ。2月に反転上昇したものの「渋谷周辺など好立地で、賃料に値ごろ感がある物件を持つオフィスREITは需要を吸収できる」(りそなAMの奥村氏)という。

4月の年度初めには決算を終えてリスク許容度が回復した国内金融機関のニューマネー流入も期待できる。割安に放置された有望銘柄を今のうちに見定めておく戦略が広がり始めている。