https://www.nikkei.com/article/DGKKZO58946570Q2A310C2EA2000
急速な物価上昇によって20~30代は相対的に貧しくなり、世界最速ペースの少子化にも歯止めがかからない。
選挙戦の最大の争点となったのが不動産問題だった。文政権下でソウル市のマンション価格は5年足らずで2倍超に跳ね上がり全国平均でも76%上がった。文政権はマンション供給を増やし、銀行貸し出しを規制するなど20を超える価格抑制策を打ち出したものの価格上昇は止まらなかった。
都心の高級マンションは投機対象となり、転売で財をなした成功談は耳目を集めた。投資対象は株やビットコインにも波及し、若者層は手元資金をつぎ込んで投資に参加した。貯金を韓国株に変えたベンチャー企業勤務の男性(28)は「まじめに働いても家は買えない」と話す。勤労所得の上昇幅を大きく上回る不動産高騰への若年層の不満は強まっている。
韓国では大企業と中小企業の給与格差は2倍程度の開きがあるため、大企業に入るのが「勝ち組」とされる。中小企業が採用難に見舞われるなど雇用のミスマッチも深刻化しており、20代の失業率は7.7%と全世代平均(3.7%)を上回る。
若年層の生活が苦しくなった結果、少子化は加速している。21年の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子供の数、暫定値)は0.81となり、文政権発足前の16年(1.17)から急降下した。日本以上に急速な少子高齢化が進んでおり、それが若年層の将来負担をさらに重くする悪循環に陥っている。

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