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格差と葛藤 韓国大統領選(中)高齢貧困率、先進国最悪に 年金制度未熟で支給額足りず 与党公約、保守層揺さぶる

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO58815500U2A300C2FF8000

 

文政権は発足時に「所得主導型成長」と「国家均衡発展」を経済政策のスローガンとした。実際に5年間で最低賃金を42%引き上げ、2022年には全国一律で時給9160ウォン(870円)となった。ただ地方では、急激な賃金上昇の副作用として雇用減を招いているのが現状だ。

 

儒教社会の韓国では、老後は子供に養ってもらうという考え方が根強く、経済的な余裕もなかったため年金制度の整備が遅れた。国民年金は1988年に始まったものの、多くの高齢者は十分な積み立てがなく、経済成長に伴う物価高に年金支給額が追いついていない。

韓国政府によると、所得格差を示す「相対的貧困率」で、韓国の65歳以上の貧困率は43.4%と経済協力開発機構(OECD)加盟国38カ国で最も高い。追い打ちをかけるように文政権下の不動産価格の高騰が、賃貸物件で暮らす高齢者を直撃した。経済成長の恩恵を受けにくい高齢世代の多くは「先進国で最悪水準」の貧困に苦しむ。

2日の大統領選の討論会では、福祉政策を巡って与野党候補が舌戦を繰り広げた。革新系与党の李在明(イ・ジェミョン)候補は「韓国は世界10位の経済強国にもかかわらず、福祉水準は30位。高齢者は貧しく苦労している」とし、ベーシックインカム(最低所得保障)の導入を訴えた。

対して、保守系野党の尹錫悦(ユン・ソクヨル)候補は分配より成長に軸足を置く。「ベーシックインカムは莫大な財源が必要で経済成長を萎縮する半面、効果は大きくない」と主張。(雇用を生む)福祉サービスを重視して「成長と福祉の持続可能な好循環を生む」とした。