https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD26A9U0W2A120C2000000
浮かんできたキーワードは、「価格高騰」と「新型コロナウイルス」だ。
東急不動産が手掛ける超高層分譲マンション「ブランズタワー豊洲」。2019年10月に販売を始め、21年10月に販売戸数1152戸を完売した。当初の計画を1年前倒ししての完売に、安達憲利リーダーは「新型コロナの感染拡大の影響があり、当初はかなり心配したが、結果はまるっきり反対だった」と振り返る。とりわけ昨年の夏以降は、1カ月に契約が100件と活況だった。1カ月で10件の契約をとった販売担当者もいて「夜遅くまで仕事に追われる人もいた」という。21年8月に出たキャンセル住戸(1LDK、40平方メートル)は競争倍率60倍をつけた。
人気の理由はどこにあるのか。まずは最寄り駅まで徒歩で約4分、銀座一丁目まで電車で約5分という立地だ。このような物件は「もう出ないだろうとの思惑から周辺のマンションを売って移り住んでくる人も多い」(安達氏)という。大型の商業施設や昭和大学江東豊洲病院といった施設もちかくにあり、いずれ値上がりするとみて「家族が増えて狭くなれば売ればいい」と投資的な感覚で購入する人も多い。
決して安い物件ではない。坪(3.3平方メートル)単価は400万円超で平均価格は8000万円台後半。80平方メートルくらいの広さになれば軽く1億円は超える。それでも1億5000万円くらいまでなら共働きで世帯年収1000万円台半ばの「パワーカップル」がついてくる。「5~6年前なら1億2000万円が上限だった」(安達氏)という。
ただ、高額マンションの人気が続くかは不透明な面もある。不動産経済研究所がまとめた2021年の首都圏の新築マンションの平均価格は前年比2.9%上昇の6260万円と過去最高。バブル期(1990年、6123万円)を超えた。このまま右肩上がりの上昇が続けば、パワーカップルでも購入のハードルは高くなる。世界的なインフレ圧力や新型コロナの感染拡大の影響も受ける可能性がある。
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