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シェアハウスで育児 送迎や世話、共働き世帯にメリット

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD202XK0Q2A120C2000000

 

プライベートな空間を確保したり夕食のサービスを付けたりするなど、物件やケアの内容も多様化している。

 

ほかの家庭の子どもの保育園送迎

「安心して共働きができる環境だ」。東京都多摩市の「コレクティブハウス聖蹟」に住む会社員、八幡友紀さん(40)はパートの妻(40)と保育園に通う6歳と1歳の2児を育てる。

コレクティブハウス聖蹟は、一般のマンションのように各世帯にトイレや台所がある一方、食事をしたりする共有スペースがある。入居する17世帯のうち6世帯が子育て中で、5世帯が共働きだ。育児を周囲に全面的に頼るわけではなく、基本的には自分の家族で完結させるが、出来ないときは周りを頼れる。子ども同士が部屋を行き来して遊び、手の空いている大人がほかの家庭の子どもの保育園送迎をすることもある。

ひとり親家庭向け、夕食付き物件

家事サービス付きのシェアハウスも登場し、仕事と育児の両立が厳しいひとり親家庭の活用例もある。一般社団法人「HAHA」(東京・目黒)の物件は家賃のほかに月2万6千円(母子2人分)で平日夜に夕食を提供してもらえる。

中庭でつながる建物に老人ホームがあり、双方を運営するスタッフらが家事や育児にも関与する。母子と高齢者あわせて16人が住み、季節の行事や誕生会などで日ごろから交流する。

国や自治体、共同住宅づくり後押し

国や自治体も子育て世帯が交流しながら育児ができる共同住宅づくりを後押しする。国土交通省は昨年4月、低所得者らの住宅を保障する「住宅セーフティネット制度」を改定し、シェアハウスにひとり親世帯も入居できるようにした。

1月から募集を始めた事業では、マンションなど共同住宅の建設や改築の際、親同士が子どもを見守りながら交流できる施設をつくると、最大500万円の補助金を支給する。

海外、多世代型の共同住宅整備

海外では社会福祉政策の一環として、子どもを含む多世代型の共同住宅の整備が進んでいる。世界のシェアハウスを研究する千葉大助教の丁志映さん(専門は住宅政策)が「血縁のない人が一緒に住むシェアハウスの一形態」として注目するフランスの制度は、認可を受けた一般家庭が障害者や高齢者を受け入れ、バリアフリー住宅にするための改修費用や障害者らの家賃を行政が保障する。
ベルギーの母子家庭と高齢者専用の「カンガルー住居」では、ソーシャルワーカーが高齢者を巡回するなどして入居者の負担やトラブルを解消するシステムをつくり、共助を促す。丁さんは「日本では不動産業者が収益のためにシェアハウスを運営している側面が強い」とみている。空き家の解消や子育て、高齢者の福祉の観点から「政策としてケアと住居の組み合わせに積極的に取り組むべき時期が来ている」と話す。