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老舗の教え(1)千疋屋総本店社長 大島博氏 「つなぐ」が使命 幼少から経営者の「舌」育む

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO80395700S2A220C2TB1000/

 

そこから高級果物店やレストランへ事業を拡大してきました。会社は親族内で承継し私は6代目です。1998年に社長に就きました。

 

後継者としての教育は物心がつく前に始まっていました。父は毎日、店で売れ残った果物を自宅に持ち帰ってきました。私は知らず知らずのうちに、リンゴを食べても「ふじ」や「スターキング」といった品種を当てられるようになりました。

 

当社の代表者は「代次郎」を襲名します。外国産果物で成功した3代目からの伝統で、現在の代次郎は5代目の父です。

読んで字のごとく、次の世代に事業をつなぐという意味が込められています。「次の代にのれんを渡す時は今よりも輝いた状態で渡すように」と言い伝えられています。

私は米国と英国の大学で3年間、ブランディングを学びました。実感したのは、果物の味や見栄えを贈答用に磨き上げる文化は世界でも珍しいということです。欧米の贈答品は菓子やケーキが一般的で、果物は日常食に近い。海外との違いを知り、事業の芯を再確認しました。

帰国後、貿易会社を経て当社に入社。40歳で社長を継いですぐに取り組んだのがブランドの再構築でした。リンゴ1個で数千円、メロンは1万円以上といった高級品は古くからのお客様には支持されていました。しかし若い人には手が届かない存在と見られ始めており、危機感がありました。

包装紙や店舗の内装を時代に合わせて見直しました。高価格帯の商品はそのままに、果物を使ったケーキなど手ごろな価格で楽しめる商品を増やしました。当初、先代には不評でした。しかし、売り上げが伸びてくると徐々に認められました。社長就任から約20年で事業規模は5倍ほどに拡大しました。