· 

メタCEOにも「旬」がある

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO80333220R20C22A2TCR000/

 

この有名な米IT(情報技術)企業はどこか。正解は2つ。ビル・ゲイツ氏が興したマイクロソフトと、マーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)が率いるメタ(旧フェイスブック)だ。

 

だが現在の姿にはだいぶ開きがある。業績が好調なマイクロソフトは時価総額が2兆ドル(約230兆円)を超え、首位の座を米アップルと競う。一方、メタは経営の変調が数字に表れている。

 

年表に戻ると、マイクロソフトにあってメタにないのは2度のCEO交代だ。パソコンからスマホへとITの主役が移り、マイクロソフトは失速した。スティーブ・バルマー氏を経てサティア・ナデラ氏がCEOになって再び勢いづく。パソコンソフトに縛られずクラウドに力を注ぎ、ライバル企業と手を組んだ。価値があるのかとゲイツ、バルマー両氏がいぶかった会社も買収に踏み切った。

時代が変われば、要求されるトップの資質も変わる。のちにゲイツ氏は「ウィンドウズ中心主義を抜け出せた」とナデラ氏の手腕を評価した。バルマー氏からナデラ氏への助言は「これまでの主義や信条を放り投げよ」だった。

前任者たちにとっては自らの旬の終わりを認める苦みを含むが、そうして手渡されたバトンがマイクロソフトを前に進めた。

沈鬱ムードを追い払おうとするようにザッカーバーグ氏はメタバース(仮想空間)事業にかじを切るが、利用者のプライバシー保護や心身への作用の検証、透明な運営が必須となる。それを支える社内文化の醸成を抜きに、ふさわしい担い手にはなれない。その文化はCEOの思考が左右する。

マイクロソフトもメタバースに注目し、ゲーム会社の大型買収を決めた。ナデラ氏は独占的な事業モデルはとらないと訴え、規制当局の理解を得るため議会関係者との対話に赴く。ゲイツ氏が独禁法訴訟で当局にかみついていたころとは違う経営がそこにある。