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賃貸物件の「仮押さえ」 セールストークに対抗策は?

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD077ZW0X00C22A2000000

 

不動産賃貸借契約の「仮押さえ」は法律上定義のある用語ではありませんが、一般的には賃貸借契約の申し込みを意味します。

契約の申し込みまでしなくても賃貸物件を一時的に押さえられる地域などもあるようですが、本来は「契約申し込みせず一時的に他の人が契約できないようにしておく」という意味ではありません。

仲介業者の発言に疑問を持ったとしても、他人の契約申込書のコピーなどを開示させることまではできせん。ただ「仮押さえ」のそもそもの意味や、仮押さえの日付や期間など具体的な内容を仲介業者に質問することで、噓や誇張表現の有無を一定程度、確認することは可能です。

業者の発言に信用性が疑われるなどして契約を白紙にしたい場合、少なくとも家主の承諾前ならば、契約の申し込みは撤回できます。

契約締結後の対抗策も検討してみます。借り主は家主との間に入って契約をとりまとめてもらうため仲介業者と媒介契約という契約を結びます。仮に仲介業者が交渉を有利に進めようと「仮押さえが入っている」などと顧客に噓をついていた場合、仲介業者には媒介契約違反の事実が認められ、民事訴訟の提起などの選択肢も出てきます。

具体的には、交渉により確実に家賃を減額できたならば、仲介業者に対し、減額できた家賃相当額を損害として賠償請求することが考えられます。家主に対しては、仲介業者による詐欺的行為があったとして、賃貸借契約の取り消しを主張することも考えられます。

ただ現実的には、交渉で家賃を確実に減額できたのか、減額できたとしていくら減額できたかの立証や、仲介業者の噓の立証は困難です。

結局は家主に事情を話したうえで交渉し、合意による賃貸借契約の解約や家賃の減額を目指すのが穏当でしょう。仲介業者に不満を伝え、手数料の一部返還を交渉することも考えられます。もっとも、家主にも仲介業者にも、これらの交渉に応じる法的義務はありません。

限られた日数での決断が必要ゆえ、やむを得ないかもしれませんが、契約を結ぶ以上、事前に知識を持つ、複数の人から話を聞く(相見積もりをとる)など冷静な対応が大切です。それは不動産の賃貸物件に限った話ではありませんが。