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巣ごもり、マイナスに働くのは経済だけでない

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB090XH0Z00C22A2000000

 

長期的には、人々は今住んでいるところにとどまる傾向がある。米国の国勢調査によると、個人が転居する可能性は、2021年は1970年代から5割以上減った。

 

引っ越しの減少を説明するひとつの要因として、雇用形態の変化が挙げられる。英シンクタンクのレゾリューション財団は英国では1990年代以降、仕事を見つけるために転居する必要が薄れたとみている。人口の高齢化や共働き世帯の増加も、引っ越しを減らしたり難しくしたりしている。

コロナ禍による金融緩和が住宅価格の上昇に拍車をかけたため、買い替えや、より広い住宅への住み替えができなくなるケースも見られる。不動産購入時にかかる高い取引税も障害だ。英国では取引税(印紙税)が2%上昇すると、引っ越しが37%減少したという調査もある。逆に印紙税が2020年7月から15カ月間免除・減免されると、引っ越しに前向きになる人が増えた。

失業率は持ち家比率と関連か

人の動きがない社会は経済にとってよくない。家具やじゅうたんの頻繁な買い替え需要がなくなるからだけではない。労働市場の柔軟性も失われる。引っ越せないことで、より良い仕事に就いたり、より生産性の高い地域に移ったりすることができなくなるかもしれないからだ。

970年代以降、自分の居住地域から抜け出せないと感じている米国人が大幅に増えた。このことは信頼感や幸福感、リスクをいとわない姿勢、楽観的な見方が減少していることと相関関係があった。引っ越しは経済にプラスになるだけではなく、人々の気持ちを前向きにする効果もあるのかもしれない。