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筋トレは人生のマネジメント

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO79963530Y2A200C2KE8000/

 

筋トレは、継続すれば必ず成果が出る運動だ。筋肉が増えると基礎代謝が高まり脂肪が付きにくくなる。重いダンベルを挙げるという達成感や体つきが変化していく実感を得られる。週3~5回、1回45分以上行うことで不安やストレスが改善したとの報告もある。ジョギングなどと同様に、神経伝達物質「セロトニン」の分泌で自己肯定感を得やすくなる作用が関係してくる可能性が考えられ、メンタル面の利点も大きい。

体づくりとは、要するに自分自身のマネジメントである。ボディービルダーの場合、日中3時間おきに食事をとりながらトレーニングをするが、筋肉だけを残し脂肪をそぎ落とした体は徹底的な自己管理がなせる技だ。時間と食の管理術や継続力は、一般人が体調管理や仕事のパフォーマンスを発揮する上でも学ぶべき点が多い。

例えば、普段から体づくりを意識していれば、おのずと糖質を一定以上とると眠くなるとか、空腹時間が続くと頭の回転が鈍くなるなど体の変化に敏感になる。多忙な毎日を送りながらも筋トレを日課とする経営者が少なくないのは、日々の体のマネジメントが自分自身だけでなく、組織のパフォーマンスの維持・向上にも直結すると捉えているからだろう。

引き締まった体と表情はリーダーに必要な要素でもある。私が体力強化部門長を務めた柔道全日本男子チームの井上康生前監督は「格好良くなければ選手がついてこない」と、日々の筋トレと体脂肪が付きにくい食生活を欠かさなかった。リオデジャネイロ五輪、東京五輪での成果は周知の通りだ。

筋肉に定年はない。筋トレをいつ始めても遅いということはない。健康寿命が延びれば医療費削減にもなるし、介護の不安も低減できるだろう。日常生活で習慣化することで得られるリターンは計り知れない。筋トレとは、人生のマネジメントそのものといえる。