https://www.nikkei.com/article/DGKKZO79874610U2A200C2TL5000/
家事・育児の負担はもともと女性に偏る傾向があった。経済協力開発機構(OECD)がまとめたコロナ流行前のデータによると、家庭内の「無償労働」に割く時間は多くの国で女性の方が長い。日本が男性の5.5倍、韓国が4.4倍と主にアジアが目立つだけでなく、米国(1.6倍)やフランス(1.7倍)も少なからぬ差がある。
社会構造的な課題も横たわる。立命館大学の筒井淳也教授(計量社会学)は「日本は家事労働者を家に入れるのが一般的でなく、家事が家庭で完結しがち」と指摘する。家事は家庭の個別の事情による部分もあり、外部化しにくい。
ドイツやフランスには家事サービスの利用料について税優遇する仕組みがある。家庭の負担を社会で支援するという政策的メッセージだ。同様の税額控除は関西経済連合会が要望しているが、議論が進むか見通せない。
時代にそぐわない仕組みが性別の役割分担意識を助長している面もある。配偶者が社会保険に加入していれば、自身の年収130万円を超えない限り年金・医療・介護保険料の支払いが免除される第3号被保険者制度が一例だ。男性が外で長く働き、女性が家庭で支えるという古くからの構図がなかなか変わらない。
