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大阪桐蔭 甲子園の雄へ(1) 上下関係見直し「PL越え」 親身の指導と信頼、逸材呼ぶ

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO79851430U2A200C2KNTP00/

 

土曜の午前、西谷はしばしば有望な中学生を求めて各地へ飛ぶ。社会科目教師の顔も持つ西谷にとっては受け持ちの授業がなく、スカウティングに充てられる貴重な時間。ただ、「土曜日も午後から練習があるので、(スカウトの)時間はいうほどない」と話す。

中学生について見るのは野球の技量だけではない。「うちに来る子は中学生までは補欠になった経験のない、エースで4番のお山の大将ばかり」と西谷。大阪桐蔭では西谷が「目の行き届く規模」として1学年を20人に絞っているものの、「それでも半分くらいは補欠になる。だから、うまくいかないときほど頑張れる子であるかどうかが大切」。

PLは1年生が上級生の雑用をこなすため下級生のうちは十分には練習できないと耳にした。

ならば、自分たちは1年生の雑用を減らし、その分みっちりと鍛えることでPLとの差を縮めようと考えた。西谷は「寮で先輩と後輩が一緒の部屋で暮らし、下級生が上級生の雑用をしていた状況を改めるため、部屋割りを学年ごとにした」と振り返る。

部員一人ひとりとしっかり向き合う西谷の人柄も次第に中学球界に知れ渡り、教え子を預けたいと思う指導者が増えた。誠実さの例が大学ノートでの全部員との日誌の交換だ。「きょう一日がどうだったかを振り返り、その結果、あす何をすべきか考えさせる」と西谷。自身もコメントをマメに書き込み、成長には何が必要かに自ら気づき、取り組むように導く。

この丁寧な指導を教え子の卒業まで貫く。17年春を制した世代の捕手、岩本久重(早大)は「西谷先生はどの大学にどのポジションが足りないかをよく知っていて、それをもとに部員一人ひとりに合った進路を探してくれた。他の高校の話も聞くが、ここまでやってくれる監督はいない」と感謝する。

人を大切に扱うという評判の立った組織には人材が集まってくるものだ。