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日本酒の魅力 三井不動産社長 菰田正信

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO79698260R30C22A1MM0000

 

30代の後半、横浜支店の用地担当課長をしていた時に、毎晩の不摂生がたたって急性膵炎(すいえん)になった。医者に診てもらうと、油ものとお酒をやめろと忠告された。仕事柄、お酒はやめられませんと言うと「あなたの命だから、あなたが決めなさい」と突き放された。仕方なく高校の同級生で慶応病院に勤める斎藤先生に相談したら、1日にビールなら中瓶1本、ウイスキーはシングル2杯、日本酒でお銚子1本までならいいだろうということになった。

さて、限られた酒量を何に使うべきか。逆に言うと、飲みたいという欲求を一番抑えにくいのは何かと思って試したら、美味(おい)しい和食が出てきたときの日本酒だった。

何年か前にお酒通で鳴らすNTTデータ前社長の岩本さんを食事に招き、お好きな銘柄の白ワインを出したら、お造りが出てきたところで「ちょっと待ってくれ」とおっしゃる。「お造りには、やはり日本酒の熱燗(あつかん)じゃないとね」とのお話だった。20年前の私の感覚も、こういうことだったのかと合点がいった。

後日、ニューヨークに出張する機上で和食を頼んだら、お造りが出てきた。「熱燗で日本酒飲めますか」とキャビンアテンダントの方にきいてみたら、「もちろんです」とうれしい返事。レンジででも温めたのだろうか、これが結構いけた。それ以来、飛行機に乗ると、このパターンを時々楽しんでいる。日本人に生まれてよかった!