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清水建設、提案営業部長は明大サッカー部監督を兼務

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC201K20Q1A221C2000000

 

清水建設の栗田大輔(51)はスポーツビジネス推進担当の部長として主にスタジアムなどの提案営業を担当する一方、明治大学サッカー部監督も務める異色の人材だ。

 

クラブや選手の感覚つかむ

スタジアムやアリーナを中心とする街づくり計画が全国で進むなか、清水建設は東京五輪の有明体操競技場(東京・江東)建設や花園ラグビー場(大阪府東大阪市)改修を手がけてきた。

 

19年4月、清水建設はソリューション営業部を新設すると、スポーツビジネスに特化した提案を強化するため、スポーツ団体や大会運営にも見識のある栗田をリーダー役に選んだ。

 

「中核にあるスポーツクラブや選手の言葉にならない思いや感覚を、自分ならつかみ取って関係者に展開できる」。ゼネコン営業として事業計画を押さえながら、施設を使うスポーツ指導者やアスリートの感覚を擦り合わせられることが強みになると話す。

 

ゴールへ最短ルート描く

営業やスポーツ指導で共通する信条は「シンプル・イズ・ベスト」だ。無用な忖度や組織内のパワーバランスは勝負の足手まといになる。ゴールへの最短ルートを駆け抜けるための戦術を臨機応変に組み立てる。サッカー強豪校の清水東高校(静岡市)から明大に進んだ、筋金入りのサッカー選手ならではの発想だ。

 

清水建設で4年半の研修を終え、横浜支店の営業に配属となったが、直属の部長は具体的な仕事を細かく教えなかった。「とにかく考えなさい」「会社の看板ではなく、自分のファンを何人作るかが重要だ」とたたき込まれた。地域の案件を責任を持って受け持つなかで、自らの戦術を見いだすよう導いてくれた。

 

第二、第三印象で勝負

神奈川県は首都圏でありながら「東京と違う風土や文化、人の流れがある」と考え、地元企業のオーナーだけでなく、学校や寺社など地域社会を支える組織に通い続けだ。「第一印象がいいのは当たり前。その先の第二、第三印象で勝負する」。ちょっとした悩み相談を逃さずに応えていくことで、人脈や顧客を広げていった。

 

異なる勝負の世界からノウハウ

2年半の秘書経験では、経営陣の重責や課題に立ち向かう姿勢を目の当たりにする。「指導者は失敗しても他人のせいにはしない」。現在のサッカー監督という立場でも大切にしている。

大学ではプロ選手も輩出するが、まず人格形成を重視する。各地の強豪高校から集まった学生には「サッカー以外の広い価値観を持ってほしい」と伝えている。