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東京23区の中古マンション、近づく価格調整局面 20代からのマイホーム考(41)

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOMH277YG0X21C21A2000000

 

4つの価格上昇要因

価格上昇の理由は4つあると考えています。第1に金利の低下です。

 

例えば「フラット35」の金利は、13年ころは2%程度でしたが、16年には0.9%まで低下しました。現在では少し上昇して1.3%程度で推移しています。

 

第2に共働き世帯の増加です。01年は951万世帯(夫婦ともに非農林業雇用者)でしたが19年には1245万世帯まで増加しています。

 

実際に現場では20代の夫婦でもペアローンを組んで高額帯のマンションを買うケースが見受けられます。

 

第3に日経平均株価の上昇です。12年10月は約9000円程度でしたが、18年10月には2万4000円超まで上昇しました。

 

その後は20年2~3月のコロナショックを経て再び上昇し21年2月には3万円の大台に乗せ、現在は2万9000円前後で推移しています。

 

都心の高額帯マンションについては、新築でも中古でも親世代からの支援を受けて購入する人が多いですが、親世代が株式を保有していれば株価上昇に伴う資産効果を通じて、援助をしやすい環境が整うという面があると筆者は考えています。

 

最後に在庫の減少です。

 

17年秋ごろには在庫が約2万2000件に積み上がり、20年5月まで高止まりの状態が続いていました。

 

この水準は08年1月以降で最高水準でした。

 

しかし20年6月から減少が始まり、21年5月には1万7200件強まで落ち込みます。業界では売り物件が減ったという声がよくありましたので、それも価格上昇の原因になっていたようです。

 

価格上昇要因、22年は存続期待できず

これら価格上昇要因の存続は、今年はあまり期待できない状況になるのではないかと筆者は考えています。

まず、金利がさらに下がるということは考えにくいでしょう。実際、長期の住宅ローンでは21年10月以降、固定金利を上げる金融機関が出始めています。

日経平均株価も、3万円を超えてさらに上昇する可能性は日本のファンダメンタルズからしても低そうです。

共働き世帯も全体の7割程度まで増えていますので、さらなる増加は見込みにくいでしょう。

実際、11年以降増加の一途をたどった共働き世帯数は、20年には19年比で5万世帯減少しています。

在庫件数も21年6月以降反転し、11月には1万9000件超まで増えています。

近づく価格調整

価格上昇の4つの要因がなくなれば、価格調整が始まる可能性はあります。

 

少なくとも横ばいか緩やかな下落となる可能性があると思います。

 

一つの兆候として、21年は都心中心部よりも周辺部のほうが中古マンション価格の上昇率が高くなっているという、これまでとは逆の状況となっていることが挙げられます。

 

なお、仮に価格調整局面に入った場合、すべての物件の価格が同じように変化するとは考えていません。

 

以前の記事「中古マンション、古くても駅近物件が人気」でも指摘したように、最寄り駅からの距離が価格に及ぼす影響が従来以上に強まっている傾向がみられますので、最寄り駅から近いマンションは値下がりしにくく、そうでないマンションでは値下がり度合いが高いといった状況になる可能性があると思います。

 

現在のマンション市況がバブルではないかと指摘する人もいますが、バブルが合理的な説明ができない水準だと定義されるならば、筆者はバブルの状況ではないと考えています。

 

少なくともバブル時代のように、マンションを貸した場合の運営経費控除後利回りより、借入金利のほうが高いという逆ザヤ状態にはなっていないと考えられるためです。