https://www.nikkei.com/article/DGKKZO78973900V00C22A1FFJ000/
トラブルのあるクラブの親会社の多くが、経営再建中の中国恒大集団など不動産企業だ。
2010年代、豊富な資金力で海外の有力選手を獲得し、隆盛を誇った中国のプロサッカーリーグのバブルがはじけた格好だ。
香港系ネットメディアの鳳凰網によると、1月4日に幕を閉じた21年シーズンで、中国超級の全16クラブのうち、少なくとも11クラブで給与支払いに問題が発生した。
その多くの親会社が不動産企業だ。
アジアの強豪として知られる広州FCには中国恒大が、古豪の北京国安には中堅不動産の中赫集団がバックにつくが「いずれも給与トラブルがあった」とされる。
スポンサー頼り
問題の根底には中国のサッカークラブの収益バランスのいびつさがある。監査法人のデロイトによると、世界の収入トップの5つのクラブの売上高構成(18~19年シーズン)は放映権が33%、チケット販売を含む試合当日の収入が18%だ。
一方で、中国の調査会社、前瞻産業研究院によると、中国勢は放映権やチケット販売は合計でも10%以下にとどまる。
大半が親会社などスポンサー収入に頼る構図だ。
レベル伸び悩み
習近平(シー・ジンピン)国家主席がサッカー好きで知られることもあり、中国ではここ数年で競技自体の人気は高まった。
ただなかなか競技レベルが向上しない国内リーグを見切り、多くのファンの目は欧州リーグへ向く。
かつて一世を風靡した中国サッカーが再び光を放つためには、プロスポーツを理解し、業界の長期的な発展を描く投資家の存在が不可欠になる。