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新築マンション価格、年収の13倍 活況の中古市場と共鳴

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC169LV0W1A211C2000000

 

低金利という政策面の恩恵のほか、活況の中古市場と共鳴することで高まる流動性も高倍率を支える。

 

都道府県別でみると最も倍率が高かったのが東京都の13.4倍で、平均年収596万円に対しマンション価格は7989万円だった。

 

倍率は過去15年間で最高になった。

 

一般に住宅ローンを組む場合は「世帯年収の5倍以内が一つの目安」とされてきた。

 

ところが、平均年収は20年あまり上向かないままで推移する一方、マンションの平均価格は直近10年で2000万円以上高くなった。

 

特に、東京の都心部では1億円を超える「億ション」が増え、限られた富裕層が需要をけん引している。

 

不動産経済研究所(東京・新宿)によると直近の東京23区内の平均価格は8327万円だ。

 

国内全体の平均年収との比較になるが、単純計算すると23区内のマンションは年収の19倍に達する。

 

もはや一般の消費者には手が出しにくい水準といえる。

 

とはいえ、新築マンションの需要は旺盛で22年も都内の発売戸数は4%増の見通し。

「年収倍率が13倍に達しても2人で割れば負担は減る」と東京カンテイの高橋雅之主任研究員は話す。

夫婦共働き層の購入が広がり、1人当たりの負担感は低減しているとみる。

野村不動産の中村治彦専務執行役員は「当社の首都圏のマンション購入者では7割が共働き世帯だ」と話す。

同社では世帯年収1200万~1300万円の人々が7000万~8000万円程度の物件を買う場合が多いという。

 

さらに、東京カンテイによると東京都の中古マンション価格(70平方メートル換算)は21年11月時点で5971万円と前年同月比12.1%高。

都心6区に限ると同9.3%高の9363万円まで上がっている。

中古マンションの価格上昇が、新築マンションの先々の資産価値が目減りすることへの不安を和らげ、心理的ハードルを下げている。

 

近ごろは「やや郊外の同じエリア内で戸建てから駅近マンションに移るシニア世帯もみられる」(東京カンテイの高橋氏)。

多摩川のほとりで建設が進むマンション「ブリリアタワー聖蹟桜ケ丘ブルーミングレジデンス」(東京都多摩市)。

東京建物などが手掛ける最寄り駅から徒歩4分の利便性が高い物件だ。契約者の年齢層をみると約3割は60代以上。

2割以上が既に地元の多摩市に住んでいる。

近隣に住むシニア夫婦が「戸建てを自分たちで管理するのが大変」などの理由から転居を決めた事例もあるという。

長年住み続けた戸建てを売却し、「ついの住み家」にマンションを選ぶシニア層の貯蓄も、共働き世帯などに並びマンション購入者層で一定の存在感が高い。

長期化するコロナ禍はより良い住環境を求める動きを捉え、賃貸住宅から始まり、新築のマンションを経て戸建て住宅につながるかつての「住宅すごろく」に中古住宅のマス目を登場させた。

コロナ禍が期せずして押し上げたマンション市況がいつまで続くのか注目される。