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減価償却から「増価蓄積」へ デフォルトを変えるZ世代

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD1214W0S1A211C2000000

 

Z世代の価値観は前の世代の逆

所有欲が強くなく、環境活動家グレタ・トゥンベリさんが象徴するように地球温暖化問題に敏感。現象面を突き詰めてみて、見えてくる傾向とは、前の世代の価値観に対してほとんど「逆向きのベクトル」だ。

例えば、「減価償却型」の今の経済は変わるかもしれない。

現状では車や情報端末の価値が最も高いのは新品の時だ。

新車登録が終わったり、商品を開封したりしたら、すぐに価値の減少が始まる。

これだけ技術が日進月歩の現在、「すぐに価値が失われるのを承知で買い、3年も5年も使い続けるのは合理性に欠ける」というのがZ世代の言い分である。

減価→使い捨て→廃棄物を増やす、という循環も連想させるのだろう。

そんな若いユーザーの声が強く影響し始めたといわれるのが、最近耳にする「アップサイクル」や「アップデート」という考え方だ。

「アップデート」は、ソフトウエアの更新によって、ハードウエアの価値を買った後から増やしていこうという考え方。

安全支援機能や自動運転機能を常時、最新の状態に更新する米テスラの手法が有名だ。

1回100万円を超すアップデートもあり、稼ぐ経営モデルとしても注目度は高い。

似た手法を取り入れたのが、ソニー出身者が米国に設立したホンマグループだ。

最近、米西海岸で売り出した「ホンマハウス」はインターネットとつながる住宅設備機器の機能をソフトウエアで更新し、サービス内容を進化させ続ける。

「住宅版テスラ」を公言する本間毅社長は「アップデート型の住宅は中古市場に出たときも価格形成で有利になり、住宅市場に好循環を生む」と読む。

減価償却型に対する「増価蓄積型」経済を予想するのは、野村総合研究所の此本臣吾会長兼社長だ。

モノの付加価値を高めるために労働生産性を向上させる「産業資本主義」が限界に達し、デジタルデータやサービスが価値の源泉になっていく。

そういう意味では、目の前に広がり始めた世界は、Z世代の世界観に沿った経営モデル革命であり、「減価償却資産」と呼ばれるモノのあり方を問う会計革命のような動きかもしれない。

存在感増すサイバー空間

経済にはもうひとつ、変化の可能性がある。

仮想空間の「メタバース」やカメラで撮影した人の3Dモデルを転送する「ホロポーテーション」、自律分散型組織といわれる「DAO」――。

グローバル化は米中対立やコロナ禍で限界に直面しているが、Z世代の志向は物理的な世界を超え、サイバー空間の中へとシームレスに通じる。

世界は「リアル+サイバーで2倍」ではなく、「無限大」だと彼らは考える。

ネット空間上で価値を生むサイバー資産に投資をし、価値を上げて売買する動きも本格化する可能性がある。