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小屋がつくる新たな交流 家・職場以外の居場所探る

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE091G50Z01C21A2000000

 

東京都内の不動産投資仲介会社に勤務する成島和也さん(43)が建てた3坪ほどの小屋は、家族や友人の憩いの場だ。

キャンプ場のコテージをイメージして小屋を建てたのが2020年7月。

木製の3段ベッドも自作した。

妻や2人の娘と2カ月に1回はキャンプに行っていた成島さんも、新型コロナウイルス禍で機会はめっきり減り、小屋がアウトドアの中心になった。

今では家族のほか、購入先の展示場で知り合ったログハウス好きの仲間も泊まりにきて、DIYなどの話題に花を咲かす。

小屋を媒介につながる相手は消防士やIT関係など、バックグラウンドは様々。

成島さんは「学生時代のような友達付き合いが大人になってもできることを小屋を通じて知った」と話す。

こうした小屋の売れ行きは好調だ。

住宅ブランド「BESS」を展開し、ログハウスの小屋を販売するアールシーコアも21年1~11月に132棟が売れ、20年比で2割増。16年の発売以来、年間最多を更新する見通しだ。

小屋を自己実現の場ととらえる人もいる。

黄色や赤など色とりどりのドライフラワーのブーケが壁にかかる。

21年7月に開業した広島県尾道市のドライフラワーショップ「mon bijou(モンビジュー)」。

代表の松谷希さん(32)が店舗に選んだのが、自宅の庭先の小屋だ。

「休日も遊びに出られず、家に引きこもっていた」。平日は看護師として病院で勤務する松谷さん。

コロナの感染拡大で職業柄、外出できない日々が続いた。閉塞感を打ち破るため思いついたのが、好きだったドライフラワーの店を始めることだった。

探した店舗は賃料に加え改装費が200万~300万円かかる。

夫から「非現実的」と諭された。

そんなときネットで見つけたのが小屋だ。

価格は約150万円で固定費も少なく、ローンで返済すれば経営も成り立つと考えた。松谷さんは「小屋がなければ踏み切れなかった」と笑う。

マンション内の小部屋を「離れ」として設置した集合住宅が販売されるなど、小屋需要は戸建ての所有者だけに限らない。

車でけん引する小屋も登場するなど、潮流は加速しそうな勢いだ。