https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC1391I0T11C21A2000000
「つくば市から始まって羽田空港まで流れていく。
日本の将来を描ける国家的な路線が整備できる」。
2021年11月24日、東京・銀座で開かれた「都心・臨海地下鉄新線推進大会」。
あいさつした東京都中央区の吉田不曇・副区長は力を込めた。
同区は臨海地下鉄として、銀座や築地、東京ビッグサイト周辺などを結び、東京駅まで延びるつくばエクスプレス(TX)とつながるルートを想定する。
ビジネスや観光での輸送需要が見込め、吉田氏は「必要な路線だ」と強調する。
東京ではいま、臨海地下鉄を含む3つの新路線構想が実現に向けてにわかに動き出している。
きっかけは21年7月の国交省審議会の答申だ。
東京の魅力向上などへ「地下鉄ネットワークの充実が必要」として、整備対象に有楽町線延伸(豊洲―住吉間)、品川地下鉄(白金高輪―品川間)、臨海地下鉄を挙げた。
3路線の構想の背景にあるのが、開発が進む臨海部と都心内陸部とのアクセス強化の必要性の高まりだ。
臨海部では都が自動運転など先端技術を社会実装する「東京ベイeSGプロジェクト」を進め、民間のマンション建設も相次ぐ。
品川駅を発着するリニア中央新幹線の開業も控える。
都は都営地下鉄大江戸線延伸など内陸部の新路線構想も持つが、「東京の国際競争の拠点」(都担当者)と位置づける臨海部でのアクセス向上と各地への波及効果創出は、世界的都市を掲げる都の喫緊の課題と言える。
江東区は「延伸でできる新駅を街の一つの核にしたい」(山崎孝明区長)として、新しいまちづくり計画を21年度内にまとめる。
中央区は都の築地再開発との相乗効果を生かしたい考えだ。22年は東京の都市像を具体的にどう描くのかが問われる1年となる。
