https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD21C950R21C21A2000000
心理的な抵抗を生じさせる瑕疵(かし)を心理的瑕疵といいますが、人の死に関する心理的瑕疵のある物件については従来、調査や告知に関する明確な基準がありませんでした。
一部には「間に1人挟んでいれば告知する必要はない」といった恣意的な判断もあったようです。
そのため国土交通省は2021年に「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を策定しました。
ガイドラインによると、心理的瑕疵に関する調査について、宅地建物取引業者が媒介を行う場合、告知書などに過去に生じた事案についての記載を売り主や貸主に求めることで、通常の調査義務を果たしたものとされています。
原則として、周辺住民への聞き込みやインターネットの検索などによる自発的な調査は求められていません。
一方、告知書などで売り主・貸主からの告知がない場合でも、人の死に関する事案の存在を疑う事情があれば、売り主・貸主に確認する必要があります。
さらに人の死に関する事案で、取引の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる場合は原則、告知しなければならないとされています。
他方、自然死や日常生活の中での不慮の死の場合は告知義務がないとされています。
それ以外の死でも、賃貸物件で、死亡事案の発生から3年が経過していれば告知する必要がありません。
ただこれらのケースも、事件性や周知性、社会に与えた影響が特に高い場合は告知の必要があるとされます。
共用部分については日常生活での使用頻度によっても変わってきます。
また、人の死の発覚から経過した期間や死因にかかわらず、買い主・借り主から事案の有無について問われた場合や、社会的影響の大きさから買い主・借り主において把握しておくべき特段の事情があると認識した場合は告知する必要があるとされています。
