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「ゲーム×金融」が育むメタバース DEA、シンガポールから発信

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFL00010_S1A121C2000000

 

そう子どもっぽく笑うのは吉田直人氏(写真)。

 

ゲーム配信会社Digital Entertainment Asset(デジタル・エンターテインメント・アセット、DEA)の創業者兼最高経営責任者(CEO)だ。

 

シンガポールからゲームを配信する。「2018年に会社を設立し、19年にシンガポールに移住した。

 

日本ではブロックチェーンに関する法規制が曖昧でリスクが高い。一方でシンガポールはルールが明確で納税もわかりやすく、事業展開しやすい」。

 

家族を置いて単身で移住した。

 

このゲーム内で使われるアイテムがNFTだ。

 

NFTはアートに導入され始めたことで知られるが、ゲームでもすでにより深く使われ始めている。

 

DEAではさらに、ゲーム内で流通する独自の暗号資産(仮想通貨)、「DEAPcoin(ディープコイン)」も発行した。

 

日本人は購入できないが、海外の交換業者で売買できるようになっている。

 

ジョブトライブスではカードにNFTを採用。

 

カードの図柄には著名漫画家も作品を寄せる。

 

仮想通貨の情報サイトによると、ディープコインは10月までは1ディープコインあたり1円程度だったが、足元では3~4円程度にまで上昇している。

 

生態系育む「スカラシップ」

ディープコインの相場上昇は、多くの交換業者で取り扱われて流動性が高まったことが背景にあるが、同社のゲーム事業のほうで大きな動きがあったことも影響している。

その動きとは「スカラシップ制度」と呼ばれる仕組みの導入だ。

NFTの保有者からスカラーと呼ばれる人がNFTを借り、それを元手にゲームをしてゲーム内通貨を増やし、増やしたゲーム内通貨に応じて報酬をもらうというもの。

スカラーとして手を挙げたのが、新型コロナウイルスの感染拡大で職を失った若い世代だ。

フィリピン人が多かったという。

空いた時間にスマートフォンでゲームをし、得たゲーム内通貨を実際のおカネに換金することで生活の足しにした。

DEAは9月、同制度を自社ゲームに12月から導入する姿勢を表明した。これが支持を集めたというわけだ。

Play-to-Earnが新たなライフスタイルに

「ゲームで遊んで稼ぐ(Play-to-Earn)」は極端なたとえではなく、新たなライフスタイルとして世界の片隅ですでに誕生している。

吉田氏は、ゲームがメタ(旧フェイスブック)など巨大IT(情報技術)企業が仕掛けていくメタバースとつながることで大きな経済圏を作り上げるとしている。

「コンテンツを持つ人が独自にコミュニティーを作り上げていく世界がやってくる」

これまで繰り返されてきた議論だが、NFTや仮想通貨に資金が集まる背景にあるのは世界的なカネ余りだ。

拡張的な金融・財政は新型コロナでさらに加速した。一部のハイテク株や不動産などと同様、「法定通貨の行き場がなくなり、暗号資産(仮想通貨)に向かっている」と吉田氏も認める。

危うさ残るも、進む時代 日本は再び敗戦か

投機色がなお色濃い一方、スカラシップ制度のように職を失った人にも富が循環するメカニズムも無視できない。

「仮想通貨を巡る問題や犯罪があったのも事実だが、悪い印象から日本は完全に出遅れている」。

海外のIT大手が主導する格好がまた広がり、「インターネットでの敗戦再びだ」と警鐘を鳴らす。先へと進む時代にしがみつこうと、吉田氏の新たな挑戦が始まっている。