https://www.nikkei.com/article/DGKKZO77719220Z11C21A1PPK000/
リクルートが2020年に首都圏の新築分譲一戸建てを購入した人に自己資金の金額を聞いたところ、「ゼロ」との回答が25%を超えた。4人に1人にあたる計算だ。
背景にあるのは住宅ローン金利の大幅な低下だ。
日銀の大規模金融緩和政策と銀行間の競争激化で適用金利は低下が進み、11月の変動金利はメガバンクで0.4%前後とこの10年で半分程度になった。
住宅ローン控除で「借り得」となる場合も少なくない。
住宅ローン控除は年末の借入残高の1%などが所得税などから控除される制度のため、1%以下の金利でローンを組めば支払う利息より控除額の方が多くなることがある。
新築物件とともに中古価格が上昇していることも見逃せない。
ここ数年は自宅を売ったら購入価格を上回った例も少なくないという声も聞かれる。
しかし好環境が続くとの楽観は禁物だろう。
東京23区の中古マンション価格は右肩上がりで上昇してきたが、今夏以降はやや陰りが出ている。
日銀は大規模金融緩和を続ける方針を示すが、住宅ローンの返済では中長期的な金利上昇への備えが大切だ。
住宅金融支援機構の21年4月調査によると、ローン利用者の68%が変動型となっている。
5000万円を期間35年、年0.5%の変動型(元利均等返済)で借り、金利が上昇する場合の試算をみてみよう。
要注意なのが完済までの総返済額。
当初は約5500万円だが、5年目で5783万円、10年目で6109万円と増える。
元利均等返済の毎月返済額は一定で、元金返済額と利払い額の合計。
金利が上がると毎月返済額に占める利息の支払い割合が増え、元金の割合が減る。
元金の返済ペースが遅れるぶん総返済額が膨らみ、25年経過時点では6552万円となる。
年0.2%ずつの上昇ではさらに増える。
金利が急上昇し「5年ルール」と「125%ルール」の毎月返済額では期間内に完済できない場合、最後に一括返済を求められるのが一般的。
頭金なしですでに購入した人は繰り上げ返済などに充てられる資金があるかどうかを確認したい。不足しているなら「貯蓄を急ぐことが大切」(FPの久谷真理子氏)となる。

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