三越伊勢丹、不動産で稼ぐ 金融と合わせ利益の5割へ 脱「百貨店」で収益確保

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO77377970Y1A101C2TB0000

 

三越伊勢丹は新型コロナウイルスの感染拡大前の19年3月期までの5年平均で百貨店事業が占める割合が営業利益全体で約6割で、不動産・金融は約4割だった。

 

高島屋では百貨店事業の利益構成比が4割を切っており、三越伊勢丹は相対的に百貨店への依存が強かった。

テナント誘致にあたっては自社カード会員の顧客層の厚さが武器になる。

三越伊勢丹の会員数は約290万人に達し、J・フロントリテイリング傘下の大丸松坂屋百貨店の約160万人に比べて多い。

優良な顧客基盤を生かし、松山三越では東京の著名スーパーやフィットネスクラブ、高級ホテルなどを誘致した。

東京都内の旗艦店では伊勢丹新宿本店(東京・新宿)、三越日本橋本店(同・中央)で再開発の検討委員会が立ち上がった。

新宿では新宿本店のほか、周辺の駐車場やスタジオアルタ(同・新宿)などがあり、こうした保有不動産を軸に進める。

一部区域では他の地権者との準備組合が立ち上がり、30年代初めに再開発を完了させる。

伊勢丹新宿本店は年間売上高が2000億円を超す日本最大の百貨店だが、周辺の再開発の進展など競争激化を見越し、新宿駅からの回遊性を高める再開発を想定する。

百貨店ではセブン&アイ・ホールディングス傘下のそごう・西武が26年2月期までに百貨店の売り場面積に占める自社運営とテナントの比率を逆転させ、自社運営の割合を現状の6割から4割以下に減らす方針。

西武池袋本店(東京・豊島)など旗艦店6店舗も対象で、業界で不動産ビジネスへの傾斜が鮮明になっている。