https://www.nikkei.com/article/DGKKZO77376630Y1A101C2TEB000/
「目の前に座っている人の頭が自分の3~4倍の速さで回転しているのがわかった」。
グーグルの米本社で検索担当ディレクターを務める徳生健太郎氏(03年入社)は、約20年前に受けた入社面接のことを鮮明に覚えている。
徳生氏は米スタンフォード大の修士号を持つ。
「勢いのついている会社で働きたい」とグーグルに行き着いた。
まだ社員1千人ほどの若い会社だったが、面接を経るうちにすぐに同社が想像をしのぐ「頭脳集団」だと理解した。
鋭い質問と次々に展開する話題。
自分が入社したら「下の中ぐらいの人間」になると思ったという。
徳生氏の最終面接の相手は共同創業者の一人、ラリー・ペイジ氏だった。
「グーグル検索で(改良のために)何をするか」「最近見たクールな製品は」。
やりとりは刺激にあふれ、震えるような興奮を覚えながら帰路についた。
徳生氏は同社の競争力の源泉は「個々人が自分で開拓していく」姿勢にあり、それを実践する人材がそろっていたことを指摘する。
組織や資金の力で勝負する企業が多かったなか、グーグルは国籍や人種を問わずにすぐにプロジェクトにかかわれるような有能なメンバーをかき集めていた。
近年は日本でも機能の変更や改修を繰り返す「アジャイル開発」の導入が広がるが、少し前まで高品質の「完成品」を提供することを重視する発想が強かった。
変化の速い時代に対応できず、機敏に動く米国勢に後れを取る要因になった。
もう一つの差は、追い求めるスケールの違いだ。
ふつうの会社員なら現実的に達成できそうな成果を目標にしたくなるところだが、グーグルでは「10%」の増加や改善にとどまらず「10X」(10倍)の革新が奨励される。
「できない理由」を並べがちな日本で「世界を変える」と宣言したら笑われかねないが、それを大真面目に追求する姿勢こそが実現へのエンジンとなった。
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