仮想通貨で一斉税務調査 14億円申告漏れ、グレー節税も

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC265U10W1A820C2000000

 

仮想通貨「エイダ」巡り調査

 

一斉調査は2020~21年ごろに関東信越国税局が実施。

 

埼玉県や栃木県、群馬県、新潟県や長野県などに住み、主に仮想通貨エイダ(ADA)の売買で利益を得た個人が対象となったようだ。

 

数十人で申告漏れなどが見つかり、過少申告加算税などを含めた追徴税額は計約6億7千万円だった。

 

エイダをビットコインなどの別の仮想通貨に換えて利益を得たにもかかわらず、申告をしていなかった例が多かった。

 

エイダは海外での取引が主で、最近まで日本の仮想通貨交換業者は取り扱っていなかった。

 

世界最大規模の仮想通貨交換所のバイナンスでエイダは20年までは1ドル未満で取引されていたが、その後に急騰。

 

現在は2ドル前後で推移している。仮想通貨に詳しい税理士は「値上がり幅が大きく、多くの人が利益を得たとみられる」と話す。

 

国税当局の重点施策

国税当局は18年ごろから、仮想通貨関連の税務調査を重点施策と位置づけている。

これまで東京国税局なども、大規模な税務調査を手掛けてきた。

法的にグレーとみられる「節税策」も広まった。

エイダに関する複数の税務相談を受けた税理士は「18年ごろに節税セミナーなどが開かれ『仮想通貨から仮想通貨への交換は非課税』といった誤った情報が流れた。

真偽不明の節税ノウハウ

坂本税理士は「公式の情報はあるが、暗号資産に関する税の専門家は少なく、SNS(交流サイト)などで不正確な情報が広がっている。

 

『出国すれば税金はかからない』などのデマがたえない」という。

 

「一定以上の利益が出た場合は納税が必要。ペナルティーも重く、適切な申告・納税が重要だ」と強調している。

 

▼エイダ(ADA)

「カルダノ(Cardano)」というプラットフォーム上で使う暗号資産(仮想通貨)で、時価総額は、仮想通貨でテザーと同等の3位グループに位置する。

 

2017年から売買が始まったとされ、21年は急激に値上がりした。

 

保有するエイダでネットワークに参加すると報酬がもらえる「ステーキング」というシステムも特徴だ。

 

株式の配当のような感覚で定期的に報酬を得ようとする人もいる。