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「GO WILD 野生の体を取り戻せ!」を読んで

 なんとなく何か新しいことを始めたい、行動したいという欲求があった。

 

なぜなら、日々ネットの情報に覆われ、受動的に時間が流れている事に対して焦りや虚しさのようなものがあった。とにかく、ゼロから何か始めたい、スタートしたいという強い気持ちが芽生えていた。

今年、新たに始めたのが山登り、テニス、ピアノ、日経新聞の購読である。これらは、これから年齢を重ねても続けたいと思っている。何となく年取った時に自分にかなりプラスになっているだろうととてもポジティブに考える事ができる。

平均寿命からして年齢的に折り返し地点を過ぎている。人生の後半に向けて健康と幸福を考え、食事や運動、生き方を見直す必要性を感じた時、本書に巡り会ったのだ。

本書は、読者の生活スタイルを「再野生化」、つまり、本来人間が持っている機能通りに生きる指南書として読者自身のライフスタイルを変えるための入門書である。

 まずは、人類の祖先、進化についておさらいしていこう。(必要ない方は読み飛ばしてください。)

人類の祖先は、約700万年前に現れた。

【人類の条件】として
(1)直立二足歩行すること
(2)道具や火を使うこと
の2つのポイントがあげられる。
 
【人類の進化】
○猿人
約700万年前に出現した最古の人類。アウストラロピテクスが代表的でアフリカのエチオピアで発見。(マラソンが強いのは納得ですね)
○原人
約240万年前にアフリカで出現し、その後各地に広まった。ジャワ原人や北京原人が代表的。北京原人が火を使用したと言われている。(今は中国のIT技術はアメリカに並んでいるようです。元々民族的にも賢いんでしょうね。)
○旧人
約六十万年前に出現、ネアンデルタール人が代表。約3万5千年前に滅亡したと言われているが、彼らの脳容積は(約1300〜1600CC)現代の人類と変わらないどころか、むしろ多い場合もあった。
○新人
約20万年前に新人(現生人類、ホモ=サピエンス)が出現。南フランスで発見されたクロマニョン人、中国で発見された周口店上同人が代表的で静岡でも浜北人が発見された。
 
 実を言うと私たちは、約20万年万に出現した初期のホモ=サピエンスから進化しておらず、まったく同じなのだ。

人類の条件である二足直立歩行をするホモ=サピエンスはヒト科の中で唯一生き残った。この二足直立歩行は、新たな視点で捉えなおすと非常に興味深い事実を教えてくれる。

ユタ大学の研究室にいるデヴィッド・キャリーは、トレイルランナーであり、ある出来事で知られるようになった。彼は、アメリカのワイオミングの大平原でレイヨウ(ウシ科であるがヤギ科のカモシカに近い)を走って追いかけ、力尽きたレイヨウをついに捕獲した男として知られている。

もちろん、走る速さはレイヨウの方が早い。ただ、持久力は彼の方があり、ひたすらレイヨウを追いかけ続けて、疲れ切って走れなくなったところを捕らえたのだ。

実際、人間は、地球上で最も耐久力のあるランナーである。人類は歩くことより、走ることに向いていることが骨格に現れている。たとえば、長いアキレス腱や体長に比べて長い脚があるのは、弾力性に富む走りを可能にする。また、歩くのと異なり、走るには腰を軸として上半身と下半身を逆方向にひねらなければならない。歩くより上半身の動きが必要となり、そのバランスを取るために骨格がデザインされているのだ。

つまり、人類は走れるように進化したのではなく、走ることは人類の本質的な特徴でもあるのだ。
鹿やレイヨウは、短距離走者であり、俊足だが持久力はない。そこでデヴィッド・キャリーは、人類は長距離を走る能力を生かして、獲物を執拗に追い続け、ついに疲れて倒れこんだところを仕留めようと考えたのだ。

彼の研究を紹介したクリストファー・マクドゥーガルは評判の著書『BORN TO RUN 走るために生まれた』を著した。この表題にもある通り、まさに人類は走るために生まれたのだ。

 ヨーロッパ人が北米を探検していた19世紀、彼らは多くの狩猟採集民と同じように動物の肉中心に食べていたが、じきに体調を崩して、顔中にブツブツが出る者もいた。原因は、動物の筋肉だけを食べていたからだ。

先住民は、動物の肝臓や脾臓、骨髄、脳、とりわけ脂肪を食べることが大切だと彼らに教えた。言われた通りにしたところ、ヨーロッパ人はみるみる健康を取り戻したという。内臓の部分は、筋肉にはない微量栄養素が豊富に含まれていたからだ。バラエティー豊かな食べ物は、人間の体を維持するのに必要な幅広い微量栄養素を提供する。

 アメリカ先住民は、典型的な狩猟採集民だったが、コロンブスが到着した頃、アメリカ先住民の大半は定住して農業を営んでいた。人類の二大革命の一つである農業革命(もう一つは産業革命)により、人類は穀物を栽培するようになった。

農業を行うことによって定住生活を行うようになったが、動かない生活と穀物栽培による炭水化物、すなわちデンプンの塊を摂取したことにより文明病がもたらされた。

このデンプンがもたらした文明病は、メタボや糖尿病、心血管疾患、様々なガンなどの病気である。ブラジルの熱帯雨林に住む狩猟採集民であるチマネには文明が行き届いていないため、心血管疾患やガンは皆無である。

これらの文明病から回避するには、やはり「野生に戻る」こと、すなわち人類が狩猟採集民だった頃の生活が必要なのだ。

 この本を読んで、走ることと農業革命の産物である炭水化物を避けた食事の必要性を改めて感じた。糖質制限ダイエットがやたらともてはやされ、違和感がなかったわけではない。好きな物を食べて運動するのが一番いいと思っていたが、やはり運動はなかなかできないというか日頃の運動量では食べた分のカロリーを消費しきれない。

なので最近は、昼は蕎麦で量を抑えて、夜は白米を抜いて、肉食中心でバランスを考えた食事を心がけてる。その成果もあってか、お腹は満腹にならず、苦しくならない。さらに、アルコールも抜くと体調はすこぶるいい感じがする。(以前は、アルコールを抜いてもそれほど体調が良くなる感じはなかった。)

肉食中心と言っても赤身の肉は、霜降りの肉より好みである。が、そのあまり食べない牛の霜降り肉は、最近の健康本では悪者扱いされているオメガ6脂肪酸(キャノーラ油やコーン油、牛脂などに豊富)が多く含まれている。ただ、オメガ6脂肪酸が良くないのではなく、オメガ3(魚やアマニ油、エゴマ油に豊富)とオメガ6脂肪酸のバランスが悪いのが良くない。オメガ3脂肪酸は不足しがちなので、牧草で育てた牛肉を食べることで解決できるそうだ。

ちなみにこれは余談であるが、ひろゆきが映画『ステーキ・レボリューション』に出ていたスペインの牧草で育てられたルビア・ガレガ牛が一番うまいと言っていたので、食べて見たいと思っている。ただ、ホリエモンとの対談でそれは単なるグラスフェッド(牧草肥育)信仰と言って否定(論破)されているのだ。笑
まあ、和牛飲食店をやってるポジショントークとも言えるが。

あと食事以外では、森林浴が免疫力を高める効果があり、ナチュラルキラー細胞(がん細胞やウイルス感染細胞を攻撃し、自然免疫に重要な役割を担う)が40%増加するそうだ。今年、始めた山登りは森林浴ができるので続けていこうとますます思った。

現代社会では人々は、精神的にも肉体的にも苦しめられている。ただ、考えたり悩んだりしていても何も解決しない。健康で幸せに暮らすためには、行動あるのみだ。

本書を読めば、その行動の第一歩になること間違いない。とにかく何でもいいから体を動かすことが大切だと思い、テニスや山登りは続けていきたい。それに軽いランニングやウォーキングの時間を増やしたいと思った。また、真剣に食生活を改善しようとも思っている。

本書は、健康と幸福になるための本質が書かれている。まさにライフスタイルを見直すための本であった。ただし、全部読むのは億劫なので、必要だと思うところを抜粋して読むことをお勧めする。笑